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魚料理は部屋の匂いが大変になるorz

12/05投稿分のつづき。
散文なんで内容はない。
流血描写に注意。

CHILDREN OF GROUND
第2章 過去より、遣わされる者

2: 聖者の夢



「約束だよ、セシル。決して違える事のない、僕らふたりの約束だ」
 
          ***
 
 夢の果てはいつだって暗闇。もしくは光の中。
 
          ***
 
 薄暗く、熱い室内に、一筋の冷たい風が吹いた。
 
 風は優しく髪を撫で上げた。火照った頬に心地よい。
 
 あれほどの熱に焼かれた空気だというのに、もう冷えようとしている。

 静かだ。とても。

 聖堂。まさにここはその名に相応しい。ここには、魂を鎮める静けさが立ち込めている。此処ならば、いかなる存在も浄化され、最後に清らかな魂に成るだろう。全て無に帰り、静かに眠ることができるだろう。きっと。

 彼女は頭上を見上げた。石造りの聖堂の天井は高く、薄暗いために見通せない。その天井から降り注ぐ冷気が、骨身に染み渡る。静かだ。だが、無音というわけではない。時折、滴る雫が水面を打つ音がする。だがそれすらもひっそりと、静かに響くのだ。
 
  絶え間なく続く水滴の音がなんなのか、自分の右手を見おろしてようやく納得する。全身を赤く染めた白刃の刃から滴る血が、血の海と化した床を叩く音だった。血と、4人の死。置物もない簡素な床を埋めるのはそれだけだ。ひとりはあとも残らぬほどに焼いた。つまりたった3人の人間から、これだけの血が溢れたことになる。その事実は彼女を驚かせた。
 
 だがもうひとつ。もうひとつ血を流すべき死体が足りない。

 剣を一振りする。纏わり付いていた赤色が宙を舞い、剣が一際強く、白く輝いた。

 まだ彼女の戦いは終わっていない。

「さすがだな、ピラウス――」

 呼ばれて、彼女は振り返った。
 
          ***
 
 夢が終わるとき。
 
 私は光の中にいるだろう。
 
 あるいは、暗闇の中にいるだろう。
 
          *** 
 
 暗闇に、響き渡る声がある。
 
 獣のようなうめき声だ。でも獣ではない。

 ――お前を滅ぼす――

 喉が裂け血を吐くほどの慟哭。

 ――必ず――

 激痛が走り肺から空気が消え五体全ての感覚が消えうせても続く悲鳴。

 ――たとえ100年が、1000年が過ぎようとも!!――

 獣ではない。

 獣ならば、泣くことも、胸が痛むこともなかった。 

          *** 
 
 「ねえさん」

 虚ろな目。本当は何も見えてないんじゃないだろうか。けれども、彼は私の目をしっかり見て言った。ただの思い込みだとしても。

 私も彼の目を見て聞いた。いつだって、私を見守ってくれた目を。いつも優しく暖かな輝きを帯びていた目を。

 私の腕の中で、赤く染まり、力を失くしていく、愛しい彼の、その目を。

 掠れた声で、肺が搾り出す最後の吐息とともに、彼は言った。

 いつまでも私を苦しめてやまない呪いの言葉を。

「生きて」

 世界一やさしい言葉を。
 
          ***
  
 夢の終わりがどこであろうと。
 
 どちらでもいい。どちらも同じこと。

 そこにもう、何も無いというのなら……
 


---------------------
どうせ夢オチさ!
現実へつづく

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