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ココアの粉を買ったのに
牛乳買い忘れた、今日。
12/09投稿分のつづき。
牛乳買い忘れた、今日。
12/09投稿分のつづき。
CHILDREN OF GROUND
第2章 過去より 遣わされる者
2:彼女の真実
:
「どういうことだ? 龍を探してる、っていったな。関係あるのか?」
尋ねる良い機会だ。フィアは、視線を逸らし、自分の身体を抱きかかえた。
「何? 聞き間違いじゃない?」
怪我人に詰問するのは気が引けたが、そうでもしないと口を割りそうにない。
そもそもこの娘、奇怪な点が多い。何故ひとりで龍を探しているのか。その髪の色はなんなのか。あの、イルミナとかいう娘の髪も緑だった。二人はどういう関係なのか。彼女の持つ不思議な力と関係あるのか。
彼女は、一体何者なのか?
フィアは、押し黙った。何か、考えている様子だった。
おもむろに彼女はシーツを跳ね上げると、ベッドから降りた。ぎょっとして、カシスは止めようとした。まだ動けるような体調ではないはずだ。
「おい、まだ寝てろって。顔色悪いぞ」
立っているがやっとのようだ。足元がおぼつかない。支えようとするカシスを押しのけ、部屋を見回して、何かを探している。
「私のマントは?」
自分でもわかるほど、声がきつくなる。
お構いなしに彼女はカシスには背を向けて、ベッド下に置いていた荷物を引っ張り出した。
「…ちょっと、そこまで」
カシスは彼女に近寄ると、ためらいながらも左肩掴んだ。
「出て行くつもりなのか?」
掴んだ肩が――いや、全身が震えている。立っているのがやっとのくせに、振り払う体力もないくせに、出て行ってどうするというのか。
どうしてそこまで、ひとりで抱え込もうとするのか。
あえて厳しい顔で怒鳴った。
「そんな体で出て行って、また襲われたらどうすんだ!?」
その顔が苛立たしくて。
カシスは空いた手を振り上げた。フィアの目が、大きく見開かれ、振り上げかけたカシスの手を見つめている。彼女のその目をみて、カシスは手を止めた。
覇気のない、怯えきった瞳。
彼女は、気丈に振舞っているだけだ。自分の命を軽んじているわけじゃない。誰にも縋ることができないような理由があって、だから平気な振りして笑っているだけだ。
(俺が追い詰めてどうすんだ)
振り上げた手を降ろし、掴んでいた手をそっと放す。離れるでもなくその場に佇む。身長差のせいで、自然と彼女を見下ろす形になる。フィアは動かず、睨むようにカシスを見上げていた。
もし膝を曲げて目線を合わせれば、彼女は嫌がるのだろうか。ふと、そんな疑問が脳裏をよぎった。
「なんで、狙われてるんだ? あんな子供に」
足から力が抜けたのか、よろめいたフィアは、カシスの腕にすがった。
とっさに支えた彼女の体は、死人のようにひんやりと冷たくて、思わず鳥肌が立った。
「おい、大丈夫か?」
座らせたほうがいい。カシスは、力ない彼女の身体を支えると、ベッドに腰掛けさせた。フィアは逆らわなかった。呼吸が荒い。意識が遠いのかもしれない。目を瞑って、耐えるように口元に手を添えていた。
「私が、あの子の同胞を、皆殺しにしたからよ」
何かの聴き間違いかと思った。眉根を寄せて訝しげにフィアのほうを見る。
彼女は、焦点の定まらない目で、床を見つめていた。
「全部よ。一族みんな。何人斬ったかしら…… あの子のお兄さんは、目の前で殺したわ」
カシスは二の句がつげなかった。
人を、殺した? それで命を狙われている?
「残念ね。助けた奴が人殺しなんて」
フィアが長い髪を払った。
夕日の色に染まりきれない緑が、鮮やかに光る。
「わかった? 私なんか、あの場に捨てておけばよかったのよ」
ふっ、とフィアが苦笑をもらす。
-----------
大丈夫かしら、このヒロイン。
主人公の想いにつづく。
第2章 過去より 遣わされる者
2:彼女の真実
:
「コンリュウ? 龍なのか?」
筋肉馬鹿、という言葉は、この際聴かなかったことにしよう。
だが、龍とは聞き捨てならない。フィアが、はっと息を飲んだ。
だが、龍とは聞き捨てならない。フィアが、はっと息を飲んだ。
「どういうことだ? 龍を探してる、っていったな。関係あるのか?」
尋ねる良い機会だ。フィアは、視線を逸らし、自分の身体を抱きかかえた。
「何? 聞き間違いじゃない?」
「ごまかすなよ」
怪我人に詰問するのは気が引けたが、そうでもしないと口を割りそうにない。
そもそもこの娘、奇怪な点が多い。何故ひとりで龍を探しているのか。その髪の色はなんなのか。あの、イルミナとかいう娘の髪も緑だった。二人はどういう関係なのか。彼女の持つ不思議な力と関係あるのか。
そして。彼女は気づいているのだろうか。いつも左腕に巻いていた布がなくなっているのを。その下に、痣とも刺青とつかぬ影が張り付いているのを。
彼女は、一体何者なのか?
フィアは、押し黙った。何か、考えている様子だった。
おもむろに彼女はシーツを跳ね上げると、ベッドから降りた。ぎょっとして、カシスは止めようとした。まだ動けるような体調ではないはずだ。
「おい、まだ寝てろって。顔色悪いぞ」
「平気よ」
立っているがやっとのようだ。足元がおぼつかない。支えようとするカシスを押しのけ、部屋を見回して、何かを探している。
「私のマントは?」
「どこに行くつもりだ?」
自分でもわかるほど、声がきつくなる。
お構いなしに彼女はカシスには背を向けて、ベッド下に置いていた荷物を引っ張り出した。
「…ちょっと、そこまで」
「ちょっとそこまでで、なんでそんなに荷物がいるんだよ」
カシスは彼女に近寄ると、ためらいながらも左肩掴んだ。
「出て行くつもりなのか?」
「だったら何よ――ちょっと、離して」
掴んだ肩が――いや、全身が震えている。立っているのがやっとのくせに、振り払う体力もないくせに、出て行ってどうするというのか。
どうしてそこまで、ひとりで抱え込もうとするのか。
あえて厳しい顔で怒鳴った。
「そんな体で出て行って、また襲われたらどうすんだ!?」
「死ぬわ。今度こそ」
薄く笑う。血の気のない顔で。
その顔が苛立たしくて。
カシスは空いた手を振り上げた。フィアの目が、大きく見開かれ、振り上げかけたカシスの手を見つめている。彼女のその目をみて、カシスは手を止めた。
覇気のない、怯えきった瞳。
彼女は、気丈に振舞っているだけだ。自分の命を軽んじているわけじゃない。誰にも縋ることができないような理由があって、だから平気な振りして笑っているだけだ。
(俺が追い詰めてどうすんだ)
振り上げた手を降ろし、掴んでいた手をそっと放す。離れるでもなくその場に佇む。身長差のせいで、自然と彼女を見下ろす形になる。フィアは動かず、睨むようにカシスを見上げていた。
もし膝を曲げて目線を合わせれば、彼女は嫌がるのだろうか。ふと、そんな疑問が脳裏をよぎった。
「なんで、狙われてるんだ? あんな子供に」
「……知りたいの?」
足から力が抜けたのか、よろめいたフィアは、カシスの腕にすがった。
とっさに支えた彼女の体は、死人のようにひんやりと冷たくて、思わず鳥肌が立った。
「おい、大丈夫か?」
座らせたほうがいい。カシスは、力ない彼女の身体を支えると、ベッドに腰掛けさせた。フィアは逆らわなかった。呼吸が荒い。意識が遠いのかもしれない。目を瞑って、耐えるように口元に手を添えていた。
カシスは床に膝をついた。彼女の言葉を待つ。今、フィアは、何か話そうとしている。
「私が、あの子の同胞を、皆殺しにしたからよ」
「……は?」
何かの聴き間違いかと思った。眉根を寄せて訝しげにフィアのほうを見る。
彼女は、焦点の定まらない目で、床を見つめていた。
「全部よ。一族みんな。何人斬ったかしら…… あの子のお兄さんは、目の前で殺したわ」
カシスは二の句がつげなかった。
人を、殺した? それで命を狙われている?
「残念ね。助けた奴が人殺しなんて」
フィアが長い髪を払った。
夕日の色に染まりきれない緑が、鮮やかに光る。
「わかった? 私なんか、あの場に捨てておけばよかったのよ」
ふっ、とフィアが苦笑をもらす。
-----------
大丈夫かしら、このヒロイン。
主人公の想いにつづく。
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