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なんか体が重い
1日部屋で腐ってた
11/19投稿文のつづき
1日部屋で腐ってた
11/19投稿文のつづき
CHILDREN OF GROUND
第1章 沈黙の森
4:沈黙の石
「行き止まりだな」
カシスは眼前にそびえる絶壁に手を触れた。苔むした、湿った岩肌の感触がする。
先ほどの魔物襲来からめぼしい手がかりもないまま、行く手を遮られてしまった。絶壁は高く、魔法でも使わない限り、登れそうにはない。さっき落ちたことから考えて、この辺りは谷というより、出口のない穴かもしれない。
「迂回すればいいじゃないか」
「どっちにだよ?」
あっけらかんというクノンに半眼で聞き返す。左右にも同様に崖が続いている。
カシスは上を示した。
「ここが穴だったらどうすんだよ。登ろうぜ。魔法でできるんだろ?」
「別に、まっすぐ行けばいいってもんでもないんじゃないかなぁ」
「何かあるかもしれんだろ」
クノンは腕組をして、不満そうに眉根を寄せた。
「むやみに歩き回るのは賛成しかねるなぁ」
「じゃ、とりあえず登るだけでいいから。魔法で飛べるんだろ?」
「……カシス、飛んでみたいだけなんじゃない?」
「ンなこたねぇよ」
図星を突かれて、カシスは目をあさっての方向に向けた。
そのとき、虚空を見上げるフィアが目に入った。何かを探しているかのように、視線が樹冠を這っている。
「どうかしたのか?」
カシスが訊くと、彼女はかくんと視線を下げた。今度は足元を見ている。その仕草が、まるで何かにとり憑かれているようで多少気味が悪かった。
フィアが、囁いた。
「近い」
「は? 何が?」
カシスの声は、彼女には届いてないようだった。フィアはわずかに眉根を寄せた。何かに聞き入っているようにも見える。
「……フィア?」
ただならぬ様子に、クノンも訝しげに声をあげた。
フィアが顔を上げた。そして、はっきりと一言を口にした。
「シルギルトア」
彼女が腕を跳ね上げ剣を持ち上げるのと、そのすぐ脇で地面が盛り上がるのはほぼ同時だった。
土から先刻と同じ爬虫類のような魔物が生まれ、フィアに飛び掛ろうとした。
それよりも早く、彼女の剣が魔物を両断した。魔物が崩れ、砂と化す頃にはカシスも剣を抜いていた。
襲撃はそれだけにとどまらなかった。二匹、三匹と、次から次へ地面を割って現れてくる。クノンが後方に下がり、長めの詠唱を始める。カシスもクノンに敵を寄せ付けぬように魔物を斬り伏せる。
やはり土でできた人形なのか。肉を裂く手ごたえはなく、剣に血糊もつかない。地面に残るのも砂ばかりである。
第1章 沈黙の森
4:沈黙の石
「行き止まりだな」
カシスは眼前にそびえる絶壁に手を触れた。苔むした、湿った岩肌の感触がする。
先ほどの魔物襲来からめぼしい手がかりもないまま、行く手を遮られてしまった。絶壁は高く、魔法でも使わない限り、登れそうにはない。さっき落ちたことから考えて、この辺りは谷というより、出口のない穴かもしれない。
「迂回すればいいじゃないか」
「どっちにだよ?」
あっけらかんというクノンに半眼で聞き返す。左右にも同様に崖が続いている。
カシスは上を示した。
「ここが穴だったらどうすんだよ。登ろうぜ。魔法でできるんだろ?」
「別に、まっすぐ行けばいいってもんでもないんじゃないかなぁ」
「何かあるかもしれんだろ」
クノンは腕組をして、不満そうに眉根を寄せた。
「むやみに歩き回るのは賛成しかねるなぁ」
「じゃ、とりあえず登るだけでいいから。魔法で飛べるんだろ?」
「……カシス、飛んでみたいだけなんじゃない?」
「ンなこたねぇよ」
図星を突かれて、カシスは目をあさっての方向に向けた。
そのとき、虚空を見上げるフィアが目に入った。何かを探しているかのように、視線が樹冠を這っている。
「どうかしたのか?」
カシスが訊くと、彼女はかくんと視線を下げた。今度は足元を見ている。その仕草が、まるで何かにとり憑かれているようで多少気味が悪かった。
フィアが、囁いた。
「近い」
「は? 何が?」
カシスの声は、彼女には届いてないようだった。フィアはわずかに眉根を寄せた。何かに聞き入っているようにも見える。
「……フィア?」
ただならぬ様子に、クノンも訝しげに声をあげた。
フィアが顔を上げた。そして、はっきりと一言を口にした。
「シルギルトア」
彼女が腕を跳ね上げ剣を持ち上げるのと、そのすぐ脇で地面が盛り上がるのはほぼ同時だった。
土から先刻と同じ爬虫類のような魔物が生まれ、フィアに飛び掛ろうとした。
それよりも早く、彼女の剣が魔物を両断した。魔物が崩れ、砂と化す頃にはカシスも剣を抜いていた。
襲撃はそれだけにとどまらなかった。二匹、三匹と、次から次へ地面を割って現れてくる。クノンが後方に下がり、長めの詠唱を始める。カシスもクノンに敵を寄せ付けぬように魔物を斬り伏せる。
やはり土でできた人形なのか。肉を裂く手ごたえはなく、剣に血糊もつかない。地面に残るのも砂ばかりである。
沈黙鳥に比べれば、動きも鈍い。が、いかんせん、数が多い。
クノンの詠唱に紛れて叫び声が聞こえた。
「見つけた! やっぱりここに居た!!」
それは、歓声だった。見やると、フィアが魔物の群れに背を向け、崖に向かって走っていくところだった。崖に正面衝突しそうな勢いだった。
「おい――!」
声を掛ける暇も、追う暇もない。魔物を打ち払いながら、なんとか彼女の行く先を目で追う。
彼女の緑色の髪が、崖に飲み込まれていくのが見えた。
そのとき、クノンの詠唱が完成した。旋風が巻き起こり、カシス以外のものを弾き飛ばした。巨木や地面にたたき付けられ、魔物が霧散していく。
「行こう!」
機敏にクノンが身を翻した。魔物が消え、道が開けた瞬間を逃さず、フィアが消えた方向へ向かう。
よく見えれば、崖に穴があいている。といっても、崩れた岩石と岩石の隙間にできた狭い縦長の穴だ。通り抜けられるかは、ぎりぎりのところだ。クノンが、荷を背負った体をうまくひねって滑りこんだ。
カシスは視界の端で、魔物が復活しているのを見た。
荷がないのが幸いだった。体を横にし、耳を岩に擦りながらも何とか潜り抜ける。背中を、魔物の爪が通り過ぎる気配がした。
潜り抜けて、ほっとする間もない。
(あれ?)
勢いよく飛び込んだ先に、足場がなかった。
裏返った悲鳴をあげながら、カシスはその日二度目の落下を経験した。
------------
よく落ちる主人公だから、飛ぶことにあこがれてる。
つづきます。
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