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今日は部活の友達と学祭デート☆
芸術工学系の学祭は洒落てて楽しいw
11/20投稿分のつづき
芸術工学系の学祭は洒落てて楽しいw
11/20投稿分のつづき
CHILDREN OF GROUND
第1章 沈黙の森
4:沈黙の石
:
遠慮の欠片もなく結晶に触っていたクノンが、いきなり声をあげた。
カシスは全身傷むのに、彼は元気らしい。どうせ、魔法でも使ったのだ。なんだか不公平なものを感じる。
「ふぁかるてぃ?」
訊きかえすと、クノンは振り返ることもせず、勝手に説明し始めた。
「平たく言うと、魔力のことだよ。大気に溢れるファカルティは、時間が経つと、やがて一箇所に集まって固化するんだ。そのときできる結晶体が、精霊石。これだけあれば周囲に何がしかの影響を与えたとしても不思議じゃない」
「……へぇ」
カシスは気のない返事を返した。魔道学に興味は沸かなかった。改めて結晶を眺める。
「じゃあ、これ全部精霊石だっていうのか?」
「どうかな」
クノンはかがむと、足元にある石を拾い上げた。結晶の欠片だった。手のひらの中で転がすと、彼は静かに詠唱を始めた。
『黎明にして終焉、夜明けにして黄昏、虚無の横たわる暗き海、始原の鳳が時を告げる……』
しかし、石はただ静かに彼の手のひらに納まっていた。クノンはきょとんとして首筋を掻いた。
「言霊に反応しない……精霊石じゃない?」
「こっちに来て」
それまで静かだったフィアが声をあげた。水晶をじっと見上げていた。
「ここからなら、よく見えるから」
促されるまま、水晶の裏側に周りこむ。
彼女が見上げていた場所には――
全身の毛が逆立つような戦慄を覚えて、カシスは剣の柄をつかんでいた。剣などでどうこうなるものとは思えなかったが。
それが、結晶の中に閉じ込められていると気づくには少し時間がかかった。
暗褐色のうろこでびっしりと覆われた皮膚。光をともさない目。大きく避けた口。まばらに生えた牙。そして巨大な翼。全体的に爬虫類を思わせる巨大なシルエット。何かよくわからない生物が、琥珀漬けになっていた。
カシスは剣からゆっくりと汗ばんだ手を離しながら、傍らのフィアに尋ねた。
「なんだこれ……魔物か?」
「違うわ」
フィアの指が、愛おしむように、そっと結晶の表面にふれた。
赤い光に溶け込むように、声が静かに響いて、空洞にひろがる。
「龍。ドラゴンよ」
-------------------
もうすぐ第1章完結ー
つづけ!
第1章 沈黙の森
4:沈黙の石
:
「いってぇ……」
さすがに今度は怪我をしなかった。
カシスとて、その気になれば受身を取ることぐらいできる。それでも、踏み込んだ先がなだらかなスロープになっていなければ、全身打撲で悶絶していただろう。からだをかばった腕やら背中に重い痛みが張り付いていた。
転がり落ちた先は、大きな洞窟になっていた。
カシスとて、その気になれば受身を取ることぐらいできる。それでも、踏み込んだ先がなだらかなスロープになっていなければ、全身打撲で悶絶していただろう。からだをかばった腕やら背中に重い痛みが張り付いていた。
転がり落ちた先は、大きな洞窟になっていた。
空洞は広く、横は数百メートルはあるだろう。楕円系の形をしている。
空洞の中心には、巨大な柱がそびえていた。柱の土のなかには、血の色のような結晶が覗いている。柱は太く、空洞の半分は占めているように見えた。露出した水晶からは赤い光が注がれ、辺りを染めていた。光は常に揺れ、地面といわず壁といわず、湖面のような不思議な紋様を描き出していた。
その水晶の柱の前に、緑色の髪をした少女が立ちすくんでいた。
カシスは今までの生きてきた中でこんな巨大な結晶をみるのは初めてだ。そのわりに感動は薄かった。そんなことよりも、カシスは少女のほうが気にかかった。
「おい」
そのまま声をかけると、フィアは、はっとして振り返った。見開いた目がカシスを見た。その顔に引きつった笑みを投げかける。
「よくも置いていってくれたな、お前」
「……あ」
今頃気づいたかのようだった。半ばあきれて、カシスは鼻を鳴らした。
「あ、じゃねぇよ。勝手に離れるなって言ったのは誰だよ、全く」
「………」
フィアはなにも言わなかった。言ったのかも知れないが、カシスには聞こえなかった。
「これ、ファカルティだ」
空洞の中心には、巨大な柱がそびえていた。柱の土のなかには、血の色のような結晶が覗いている。柱は太く、空洞の半分は占めているように見えた。露出した水晶からは赤い光が注がれ、辺りを染めていた。光は常に揺れ、地面といわず壁といわず、湖面のような不思議な紋様を描き出していた。
その水晶の柱の前に、緑色の髪をした少女が立ちすくんでいた。
カシスは今までの生きてきた中でこんな巨大な結晶をみるのは初めてだ。そのわりに感動は薄かった。そんなことよりも、カシスは少女のほうが気にかかった。
「おい」
そのまま声をかけると、フィアは、はっとして振り返った。見開いた目がカシスを見た。その顔に引きつった笑みを投げかける。
「よくも置いていってくれたな、お前」
「……あ」
今頃気づいたかのようだった。半ばあきれて、カシスは鼻を鳴らした。
「あ、じゃねぇよ。勝手に離れるなって言ったのは誰だよ、全く」
「………」
フィアはなにも言わなかった。言ったのかも知れないが、カシスには聞こえなかった。
「これ、ファカルティだ」
遠慮の欠片もなく結晶に触っていたクノンが、いきなり声をあげた。
カシスは全身傷むのに、彼は元気らしい。どうせ、魔法でも使ったのだ。なんだか不公平なものを感じる。
「ふぁかるてぃ?」
訊きかえすと、クノンは振り返ることもせず、勝手に説明し始めた。
「平たく言うと、魔力のことだよ。大気に溢れるファカルティは、時間が経つと、やがて一箇所に集まって固化するんだ。そのときできる結晶体が、精霊石。これだけあれば周囲に何がしかの影響を与えたとしても不思議じゃない」
「……へぇ」
カシスは気のない返事を返した。魔道学に興味は沸かなかった。改めて結晶を眺める。
「じゃあ、これ全部精霊石だっていうのか?」
「どうかな」
クノンはかがむと、足元にある石を拾い上げた。結晶の欠片だった。手のひらの中で転がすと、彼は静かに詠唱を始めた。
『黎明にして終焉、夜明けにして黄昏、虚無の横たわる暗き海、始原の鳳が時を告げる……』
しかし、石はただ静かに彼の手のひらに納まっていた。クノンはきょとんとして首筋を掻いた。
「言霊に反応しない……精霊石じゃない?」
「こっちに来て」
それまで静かだったフィアが声をあげた。水晶をじっと見上げていた。
「ここからなら、よく見えるから」
促されるまま、水晶の裏側に周りこむ。
彼女が見上げていた場所には――
全身の毛が逆立つような戦慄を覚えて、カシスは剣の柄をつかんでいた。剣などでどうこうなるものとは思えなかったが。
それが、結晶の中に閉じ込められていると気づくには少し時間がかかった。
暗褐色のうろこでびっしりと覆われた皮膚。光をともさない目。大きく避けた口。まばらに生えた牙。そして巨大な翼。全体的に爬虫類を思わせる巨大なシルエット。何かよくわからない生物が、琥珀漬けになっていた。
カシスは剣からゆっくりと汗ばんだ手を離しながら、傍らのフィアに尋ねた。
「なんだこれ……魔物か?」
「違うわ」
フィアの指が、愛おしむように、そっと結晶の表面にふれた。
赤い光に溶け込むように、声が静かに響いて、空洞にひろがる。
「龍。ドラゴンよ」
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もうすぐ第1章完結ー
つづけ!
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