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一日ごろんごろんしてました。
明日からバイト4連勤。 死亡フラグ。
でもお金欲しいからがんばるんだい!
がんばって新しいPCげっとだぜ!
05/28投稿分のつづき
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CHILDREN OF GROUND
第3章 山上の宴唄
:エピローグ
「はぁ~あ……」
ため息をつくと、御者台から声が飛んできた。
「まぁだため息ついてんのか、お前は」
御者台側の幌を捲り、顔を覗かせる。
そこで手綱を握っていたのは、無精髭を生やしたチンピラみたいな男だ。鋭いブラウンのまなざしが返って来る。
「こんな馬車旅、嫌よ。もう腰が痛くてかなわないわ」
背伸びをしながら天を仰げば、宝石のように深く済んだ青空が広がっている。
「元気になったみたいで、よかったね、フィア」
隣を歩く少年が微笑んだ。その向こうで、黒髪の青年が相変わらず不機嫌そうな顔を浮かべている。
「一晩寝たらけろりとして…」
青年のほうを覗きみるが、彼は肩をすくめただけだった。
彼女とて、快調というわけではない。体は気だるいし、頭も眠気のような重さがある。かといって不快ではない。薬が抜け切ったようだ。
黒い瞳が半眼で睨み返してくる。少年も、面白そうに青年の顔を見ている。
「付いてってどうすんだよ」
はぁ、とわかりやすく青年がため息をついた。
「まぁ…… お前にはわかんねぇだろうな」
「なんだよ、娼婦とオサラバできてよかっただろうが」
館は遠く離れてもう見えない。
もちろん辛いこともあったけれど、もうお洒落も出来ないし、上客にかこつけて美酒美食にありつくこともない。
「じゃあ戻るか?」
べ、と舌を出して見せる。あんな辛気臭い場所はこりごりだ。
「そして、さようなら、あたしのかわいいヒト」
相変わらず、興ざめすることばかり言う兄だ。
「失礼ね、惚れた男性にはいつだって本気よ」
興味なさそうに、兄。まったくもう。
うんざりして、がしがしと髪を掻き混ぜている。どんなに睨みつけても、少女は怯む様子もない。
「僕も聴きたいなぁ。あんなに綺麗なひと、なかなかいないんじゃないかい?」
少年は明らかに面白がっている。年下のくせに生意気な。
あれこれ言われて、終いにはカシスは声を荒げていた。
「そりゃまぁ、美人だよ。美人だけど、俺がどうしようと、俺の勝手だろうが!」
少女が言った。
「もっと違う風にあってたら、一緒に居た?」
笑っている。
あの薄暗い部屋で、傷だらけになって座り込んでいた面影はない。
言ってやると、兄はピクリと頬を引きつらせた。いまだに、彼の話になると嫌そうな顔をする。まだ小さかった私達兄妹を救ってくれた、命の恩人だというのに。何がそんなに気に食わないのだか。
「あぁあ。私、ギルみたいなステキで強くてカッコイイ人のおよめさんになりたぁい」
忘れもしない。本当に、素敵で強くて格好良かった。
当時5歳程度の幼い自分は取り合ってもらえなかったが、今なら振り向かせる自信がある。
そんなときに現れたギルの息子。本人そのまま、とは言わないが、顔も雰囲気もよく似ていて、夢中になるなというほうが無理だ。結局、振り向かせることはできなかったけど。
「ああいう面倒くさい男と付き合うと本当に面倒事ばっかりだぞ。しかも年下」
兄の背中を平手で張る。痛そうなうめき声は無視して、幌の中に戻る。
カシスは反射的に言い返していた。
風が巻いて、少女の長い緑の髪が踊る。
「タイプじゃない?」
戯言には取り合わないことにした。
足を止めて、これまで来た道を振り返る。とはいえ、さきほど別れた馬車が見えるわけでも、あの館があるわけでもない。
(好き、か)
そういわれればそうかもしれない。だが、愛していたかといえば、どうだろう、違うと思う。
出会えてよかった。そういう言葉が一番しっくりくる。綺麗で優しいヒトだった。
生きていれば、どこかで逢えるかもしれない。しかし、それはきっと奇跡に近いのだろう。
いいえ、一度出会えただけでも、もう奇跡だ。
それに、十分楽しかった。お別れだと思うと寂しいけれど、不思議と辛くない。
彼らのことを思えば、不思議と微笑みさえ浮かんでくる。
私は、私達は、それで充分だ。
寄り添うことはなかったけれど、この空はどこまでも繋がっている。
退屈紛れに、彼女は唄を口ずさんだ。
それは数え唄で、面白くもないひどい歌詞だが、なんだか忘れられない音律だった。
宴唄のように、陽気に。
馬車の揺れる音にあわせて、街道の上を歌声が踊った。
-------------------------------------------------------
数え唄が出来て満足です。ええ満足です。
貴重な美女キャラは大事にしようと思います。
荒削りでアップしたので、ちょいちょい修正するやも。
生きて幸せになってね。
第3章 山上の宴唄
:エピローグ
晴天だ。
幌から覗く空は青く澄んで、白い雲が優雅に漂っている。
幌から覗く空は青く澄んで、白い雲が優雅に漂っている。
街道とはいえ、街中のように舗装されているわけでなく、馬車はガッタガッタと揺れ続けている。だんだん腰が痛くなってきて、もう何度も座りなおしている。あの雲のようなクッションがあればいいのに。
「はぁ~あ……」
ため息をつくと、御者台から声が飛んできた。
「まぁだため息ついてんのか、お前は」
「だぁってぇ」
御者台側の幌を捲り、顔を覗かせる。
そこで手綱を握っていたのは、無精髭を生やしたチンピラみたいな男だ。鋭いブラウンのまなざしが返って来る。
「こんな馬車旅、嫌よ。もう腰が痛くてかなわないわ」
「ンなもん、館で慣れっこだろ」
「ほんと、最低! 兄としてどうなの、その言い草!」
* * *
「ふあーぁ… いい天気ねぇ」
背伸びをしながら天を仰げば、宝石のように深く済んだ青空が広がっている。
「元気になったみたいで、よかったね、フィア」
隣を歩く少年が微笑んだ。その向こうで、黒髪の青年が相変わらず不機嫌そうな顔を浮かべている。
「一晩寝たらけろりとして…」
「なぁに?」
青年のほうを覗きみるが、彼は肩をすくめただけだった。
彼女とて、快調というわけではない。体は気だるいし、頭も眠気のような重さがある。かといって不快ではない。薬が抜け切ったようだ。
「ね、カシス。エトと一緒にいかなくてよかったの?」
「あん?」
黒い瞳が半眼で睨み返してくる。少年も、面白そうに青年の顔を見ている。
「付いてってどうすんだよ」
「好きなんじゃないの?」
「……だとしたら?」
「一緒に居たくないの?」
はぁ、とわかりやすく青年がため息をついた。
「まぁ…… お前にはわかんねぇだろうな」
「なによ!」
* * *
情報屋だとか格好つけたところで、結局のところはチンピラだ。こんな兄についてきたせいで、堅気の生き方からかけ離れた人生を送っているが、小さい頃から自分を守ってくれた頼れる存在であることは否めない。今回も間一髪、自分を攫って連れ出してくれたわけで、感謝はしている。
「なんだよ、娼婦とオサラバできてよかっただろうが」
「嗚呼さらば、高級な生活……」
館は遠く離れてもう見えない。
もちろん辛いこともあったけれど、もうお洒落も出来ないし、上客にかこつけて美酒美食にありつくこともない。
「じゃあ戻るか?」
「ゼッタイ、イヤ!!」
べ、と舌を出して見せる。あんな辛気臭い場所はこりごりだ。
「そして、さようなら、あたしのかわいいヒト」
「別に、本気であのガキに入れ込んでたわけでもねぇんだろ」
相変わらず、興ざめすることばかり言う兄だ。
「失礼ね、惚れた男性にはいつだって本気よ」
「あそ」
興味なさそうに、兄。まったくもう。
* * *
「エトは、カシスのこと好きだって言ってた」
「だったら何なんだよ……」
うんざりして、がしがしと髪を掻き混ぜている。どんなに睨みつけても、少女は怯む様子もない。
「僕も聴きたいなぁ。あんなに綺麗なひと、なかなかいないんじゃないかい?」
少年は明らかに面白がっている。年下のくせに生意気な。
あれこれ言われて、終いにはカシスは声を荒げていた。
「そりゃまぁ、美人だよ。美人だけど、俺がどうしようと、俺の勝手だろうが!」
「出会い方が違ってたら?」
少女が言った。
「もっと違う風にあってたら、一緒に居た?」
笑っている。
あの薄暗い部屋で、傷だらけになって座り込んでいた面影はない。
* * *
「でも、ほんとにギルにそっくりだったね」
言ってやると、兄はピクリと頬を引きつらせた。いまだに、彼の話になると嫌そうな顔をする。まだ小さかった私達兄妹を救ってくれた、命の恩人だというのに。何がそんなに気に食わないのだか。
「あぁあ。私、ギルみたいなステキで強くてカッコイイ人のおよめさんになりたぁい」
忘れもしない。本当に、素敵で強くて格好良かった。
当時5歳程度の幼い自分は取り合ってもらえなかったが、今なら振り向かせる自信がある。
そんなときに現れたギルの息子。本人そのまま、とは言わないが、顔も雰囲気もよく似ていて、夢中になるなというほうが無理だ。結局、振り向かせることはできなかったけど。
「ああいう面倒くさい男と付き合うと本当に面倒事ばっかりだぞ。しかも年下」
「お兄ちゃんと一緒でも、面倒ばっかりじゃない!」
兄の背中を平手で張る。痛そうなうめき声は無視して、幌の中に戻る。
* * *
「関係ねぇよ」
カシスは反射的に言い返していた。
風が巻いて、少女の長い緑の髪が踊る。
「タイプじゃない?」
「そう思ってろよ」
戯言には取り合わないことにした。
足を止めて、これまで来た道を振り返る。とはいえ、さきほど別れた馬車が見えるわけでも、あの館があるわけでもない。
(好き、か)
そういわれればそうかもしれない。だが、愛していたかといえば、どうだろう、違うと思う。
出会えてよかった。そういう言葉が一番しっくりくる。綺麗で優しいヒトだった。
* * *
「もう逢うこともないのかしら……」
生きていれば、どこかで逢えるかもしれない。しかし、それはきっと奇跡に近いのだろう。
いいえ、一度出会えただけでも、もう奇跡だ。
それに、十分楽しかった。お別れだと思うと寂しいけれど、不思議と辛くない。
彼らのことを思えば、不思議と微笑みさえ浮かんでくる。
私は、私達は、それで充分だ。
寄り添うことはなかったけれど、この空はどこまでも繋がっている。
今は、お互いの無事と幸せを祈ろう。そう、あの不思議な少女の行く末も。
退屈紛れに、彼女は唄を口ずさんだ。
それは数え唄で、面白くもないひどい歌詞だが、なんだか忘れられない音律だった。
宴唄のように、陽気に。
馬車の揺れる音にあわせて、街道の上を歌声が踊った。
ひとつ 秘め事 火の用心
ふたつ 不埒な風来坊
みっつ 淫らな未亡人
よっつ 呼ばれて夜商人
いつつ 往きあう二人の恋は
むっつ 無情の夢物語
ななつ 泣いて別れを告げるなら
やっつ 焼いてください この体
ここのつ この世で最後の逢瀬です
とおで ともに眠りましょ
とおで ともにねむりましょ
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数え唄が出来て満足です。ええ満足です。
貴重な美女キャラは大事にしようと思います。
荒削りでアップしたので、ちょいちょい修正するやも。
生きて幸せになってね。
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