↓「はじめに」をごらんください (*´∀`*) ↓
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明日の講義の準備に何もできてねぇw
もうどうにでもなれw
こんなんで卒業できるんかw
ともあれ
05/10投稿文のつづき
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こんなんで卒業できるんかw
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CHILDREN OF GROUND
第3章 山上の宴唄
10:とおで ともに ねむりましょ
土を踏む音。
第3章 山上の宴唄
10:とおで ともに ねむりましょ
土を踏む音。
虫の鳴く声。
そして、触れたからだのぬくもり。
ゆっくりとフィアは目を開けた。彼女は何かにもたれかかっていた。体が上下に揺れる不安定な感覚。視界を埋めるのは、皮製の布。首を動かしよく見れば、森の中の街道だ。
誰かの背中に担がれている。
「なんで斬らなかったの?」
フィアは呻いた。声が擦れて、呟いた瞬間咳が出た。体が跳ね、傷口が疼く。
「っと、急に動くなよ」
批難の声が飛んでくる。バランスを失い、宙に放り出されかけた彼女の体が、再び何者かによって支えられている。担ぎなおされたのだろう。
抗う体力もなく、フィアは素直にその力に従った。再び背中にもたれかかる。
抗う体力もなく、フィアは素直にその力に従った。再び背中にもたれかかる。
「え? フィア、起きたの?」
少年の声がする。後ろから、誰かが彼女の視界に入るように周り込んできた。その人影は、彼女を背負っている主の隣に並び、歩調を合わせた。
月明かりに照らされた見知った童顔が、彼女と目が合うとほころんだ。
「よかった。大丈夫?」
そう訊かれても、もう自分の何が大丈夫でそうでないのか、フィアにはわからなかった。それぐらい、体の感覚がない。ほんの少し、頬を緩ませ口元を歪ませて見せた。大丈夫、と受け取ったのだろう。クノンは頷いた。
「……ねぇ、降ろしてよ」
掠れた声で、彼女を担ぐ背中に呟く。
「降ろして、カシス」
「なんだ? 便所か?」
相変わらず、品のないことばかり言う。低く唸るように告げる。
「……耳を掻ききるわよ」
「悪いが休ませてやる暇はねぇよ。このまま山を降りる」
このまま? 山?
疲れのせいか、一瞬、なんのことだかわからなくなって、十秒ほどカシスが言った意味を考えていた。段々と、自分の身に何があったかを思い出した。
「ねぇ、どれくらい、私は眠ってた?」
「そんなに長くはないよ」
「まだ館からそう離れていない」
口々に、押し殺した声で言った。やっと、張り詰めた雰囲気に気づく。横を歩くクノンも、ちらちらと背後を振り返っては警戒している。
まだ連中が《聖法使い》を狙っているなら、追手が掛かるのかもしれない。
人一人抱えて、速く逃げられるわけがない。
フィアは意を決して告げた。
「私を置いていけば――」
「うっせ。寝てろ馬鹿」
カシスの言葉は鋭かった。かなり苛立っている様子だ。
カシスの言葉は鋭かった。かなり苛立っている様子だ。
「どうして助けるの」
「俺が巻き込んだからな。こんなところに連れてきた俺が悪い」
珍しくカシスが自分の非を認めた。
驚いて顔をあげると、血の匂いが鼻についた。よく見れば、カシスの左肩が血で濡れている。
彼女の力の暴発でついた傷だ。
「私が勝手に付いてきたのよ。あなたのせいじゃない」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。その言葉に、カシスは彼女を振り返ろうとしたみたいだが、そこまで首が回らなかったらしい。諦めて正面を向いた。
「だから、降ろして。ここまで自分の足で来たんだから、自分の足で逃げる」
「歩けねぇ癖によく言う」
「足手まといになるならぐらいなら、マシよ」
腕に力をこめて、カシスを突き飛ばそうとしたとき、クノンが鋭く囁いた。
「カシス、フィア! 何か来た!」
思わず息を飲む。耳をすませば、たしかに夜の静寂とは異質な馬のひづめの音がする。
カシスが舌打ちした。
「数は? 見えるか?」
振り返らず、カシスは足を速めた。クノンが答える。
「いや、馬車が一両。魔法で喰い止める」
クノンがフィアの視界から消えた。フィアはカシスに掴まったまま、振り返った。クノンは立ち止まって杖を掲げ、詠唱を始めた。
『悠久の果てに、辿り着かず、流れる。生まれ出づ時、去り行く地、留まる所さえなくまた尋ねる者もなし。名も無き者よ、とこしなえの彷徨い人よ、ムァ・カルスの盟約に従い、無敵の剣となれ!』
風の精霊石がクノンの言霊に呼応し、彼の周囲で大気が渦を巻いた。そして最後の言葉とともに、風は不可視の刃となり、突進する馬車に向かって矢のよう発射された。
だが、馬車に届く前にすべて砕け散った。勿論見えないが、自分の魔法を無力化された手ごたえが伝わる。
「アンチ・スペル……!」
クノンは胸中舌打ちした。
魔法が発動したようには思えない。もしあの馬車に魔道師が載っていたとしても、この距離でクノンの術式を推察して防御の魔法を組み立てるなど不可能だ。
おそらくあの馬車には、攻撃的なファカルティに呼応して働くような防御用の魔法文字(スペル)が内蔵されているのだろう。
スペルは、ファカルティをこめて刻まれた文字だ。効果は文字によって様々で何かと便利ではあるが、非常に高価なうえに、よくて数回程度しか効果を発揮しない消耗品だ。聖法使いを人身売買に掛けているような子爵のことだから、それぐらい標準装備に積んでいても不思議ではない。
「クノン!」
「先に行って!」
カシスの声にクノンが叫び返した。息を大きく吸うと、クノンは再び唱え始めた。
『汝、太陽の冠を頂き、右手には火炎の矛、左手には光明の盾、その身に纏うは灼熱の鎧――』
距離を稼ぐために、後方に下がりながらの詠唱を続ける。とにかく、スペルの効力が消えるまで攻撃を続けるしかない。そのとき、馬車の御者台から何かが顔を出した。
「ねぇねぇ、ストップストップ!」
その相手が甲高い声で叫ぶ。クノンは構わず詠唱を続けていたが、次第に馬車との距離が縮まり、相手の顔がはっきりすると、呆気に取られてその場に立ち尽くしてしまった。
顔を隠していたショールを脱ぎ去り、御者台から手を振って叫んでいたのは――
「エト……さん?」
紛れもない。自分達を逃がしてくれたエト、その人だ。
「ハァイ、カストマイダー家の坊や」
微笑をたたえ、ヒラヒラと美女が手を振った。
馬車はするすると速度を緩め、クノンの目の前で静止した。2頭の馬が、荒い鼻息を立て、その場に足踏みを繰り返した。
御者は、黒い外套で顔を隠していたが、馬車が止まると片手を手綱から離し、フードを取った。現れたのは、荒々しい雰囲気を漂わせた中年の男性だった。
「アギル?」
振り返ると、異変に気づいたカシスが戻ってきていた。御者台の男を見上げ、驚きを隠せないでいる。アギルと呼ばれた男は気に食わない様子で鼻を鳴らすと、そっぽを向いた。
エトがにっこりと笑う。アギルの肩に手を置くと、小首を傾げた。
「意外にも早い再会になったわね…… どう? 乗ってく?」
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え? 予想どおりのオチ?
そうですかすいません、ほんと。
ネタ晴らしのようなエピローグにつづけばいいのさ。
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