↓「はじめに」をごらんください (*´∀`*) ↓
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
がんばった! そう、がんばったのよ!
と思い込めば明日も笑って生きていけそうおぅいえ!
1/4投稿分のつづき
ユルカルいかんじ。
と思い込めば明日も笑って生きていけそうおぅいえ!
1/4投稿分のつづき
ユルカルいかんじ。
CHILDREN OF GROUND
第3章 山上の宴唄
1:ひとつ ひめごと ひのようじん
珍しい、といえば珍しい。いつも黙々と歩き続ける少女が、会話を求めてくることは、これまでにないことだ。あたりは木々に覆われただけの至って変哲のない山道だ。歩き続けることに飽きてきたのか、それとも。
「どうした? 具合でも悪いか?」
どうやらこの娘は、自分が黙ったままなのが不満だったらしい。淡青色の双眸が、くるりとこちらを向いた。つられて、色だけみれば美しい、鮮やかな緑の髪が揺れる。その姿は龍の力を秘めている証だということは、つい先日知ったばかりだ。そう思ってみると、どこか神秘的にも思える。
実際、拗ねたような振る舞いには神々しさのかけらもないが。鋭い目に射止められ、カシスは肩をすくめた。そう言われても、急に話題は出てこない。カシスはちらりと左に視線を送った。
「……だ、そうだ。クノンくん」
困ったように、クノンと呼ばれた少年が頬をかく。柔らかな栗色の髪に、大きな金色の瞳が、穏やかな印象を与える。魔道師らしく、紫のローブに身を包み、精霊石のはまった杖を背中に担いでいた。
「そういえば、カシス、まだどこに行くか言ってなかったね?」
ひくっ、と一瞬だけカシスの顔が引きつった。
「ん? そうだったか?」
曖昧に頷いて、上空に目を向ける。
幸いよく晴れて、徒歩での移動もそれほど苦ではなかった。それは朝日が昇ったころから分かっていたことで、カシスは今更天気を見たわけではない。
「情報屋がいるところだよ」
クノンが大仰に驚いた声をだした。わざとらしい。
あえて指摘せず、淡々と答える。
「定期的に、山奥の宿に現れる。いつもはどこにいるのかわかりゃしねぇ」
フィアがすかさず質問を重ねた。
打ち合わせでもしたかのようなタイミングのよさだったが、とりあわないことにする。
当然の疑問だろう。逆の立場なら、カシスもきっと同じ問いをした。宿場町を後にしたあと、このルートを決めたのはカシスだ。クノンとフィアは、カシスに同行しているようなものだ。行き先もわからず着いていくのは嫌なものだ。
頷いてカシスは言葉を返した。
「だからその……ちょっとな」
わかっていても、答えにくいことぐらいある。
フィアが、咎める声をだした。
最近、隠し事をするとフィアは問いただすようになった。
彼女の秘密を聞き出したことの腹いせだろうか。
「隠すようなことかな?」
クノンもフィアに便乗してきた。
クノンはあきらかに根に持っている。
仲間はずれにされたと思っているのだ。
「いや、お前ら…… あのな」
カシスは頭を抱えた。
「このやりとり、何回目だ?」
カシスの指摘は黙殺された。
ふたりは並んで歩きながら、おたがいの言葉にうなずきあっている。
「そっかぁ。僕には話してくれないんだぁ。そうだよねぇ。僕なんかにはねぇ」
「ま、誰だって話したくないことぐらい、あるわよね」
とげとげしい雰囲気を感じながら、とりあえずカシスは黙秘を通した。
「そうだね。話しにくいにしてもね、一緒に危険を乗り越えた仲だしさ。遠慮も必要ないと思うけれどねぇ」
道中この調子では、さすがにまいる。言い訳にもならない弁解が口にのぼる。
「だからな…… 俺にも、なんだ、照れっつーか心の準備っつーか…」
思わぬフィアの反駁に、過敏に反応してしまった。
「年頃の娘が、そんな品のない言い方するんじゃない」
喉の奥で唸る。沽券にかけて、治療のため以外には不要な手出しは一切していない。にも関わらず、この扱いだ。
(俺が、何をしたってんだ……)
「あと、言い草がオッサンくさい変態くさい」
さすがに怒鳴り返すと、フィアは手の届かないところまでひょいと逃げた。つん、と知らん顔をしている。
追いかけるのも面倒でげんなりしていると、
「で? 何の情報だっけ?」
クノンの一言に、カシスはがっくりと肩をうなだれた。
-------------------------------------
反動でユル軽い感じで
なんだかんだでフィアは元気です
第3章 山上の宴唄
1:ひとつ ひめごと ひのようじん
「ねぇ、誰か何か話さない?」
珍しい、といえば珍しい。いつも黙々と歩き続ける少女が、会話を求めてくることは、これまでにないことだ。あたりは木々に覆われただけの至って変哲のない山道だ。歩き続けることに飽きてきたのか、それとも。
「どうした? 具合でも悪いか?」
「こっちの台詞よ」
どうやらこの娘は、自分が黙ったままなのが不満だったらしい。淡青色の双眸が、くるりとこちらを向いた。つられて、色だけみれば美しい、鮮やかな緑の髪が揺れる。その姿は龍の力を秘めている証だということは、つい先日知ったばかりだ。そう思ってみると、どこか神秘的にも思える。
実際、拗ねたような振る舞いには神々しさのかけらもないが。鋭い目に射止められ、カシスは肩をすくめた。そう言われても、急に話題は出てこない。カシスはちらりと左に視線を送った。
「……だ、そうだ。クノンくん」
「いや、僕に振られても」
困ったように、クノンと呼ばれた少年が頬をかく。柔らかな栗色の髪に、大きな金色の瞳が、穏やかな印象を与える。魔道師らしく、紫のローブに身を包み、精霊石のはまった杖を背中に担いでいた。
「そういえば、カシス、まだどこに行くか言ってなかったね?」
ひくっ、と一瞬だけカシスの顔が引きつった。
もはやごまかすに及ばなかったが、カシスは平静を装った。
「ん? そうだったか?」
「行きたいところがある、としか」
「ああ……」
曖昧に頷いて、上空に目を向ける。
幸いよく晴れて、徒歩での移動もそれほど苦ではなかった。それは朝日が昇ったころから分かっていたことで、カシスは今更天気を見たわけではない。
「情報屋がいるところだよ」
「こんな山奥に?」
クノンが大仰に驚いた声をだした。わざとらしい。
あえて指摘せず、淡々と答える。
「定期的に、山奥の宿に現れる。いつもはどこにいるのかわかりゃしねぇ」
「なんの情報?」
フィアがすかさず質問を重ねた。
打ち合わせでもしたかのようなタイミングのよさだったが、とりあわないことにする。
当然の疑問だろう。逆の立場なら、カシスもきっと同じ問いをした。宿場町を後にしたあと、このルートを決めたのはカシスだ。クノンとフィアは、カシスに同行しているようなものだ。行き先もわからず着いていくのは嫌なものだ。
頷いてカシスは言葉を返した。
「だからその……ちょっとな」
わかっていても、答えにくいことぐらいある。
「何よ」
フィアが、咎める声をだした。
最近、隠し事をするとフィアは問いただすようになった。
彼女の秘密を聞き出したことの腹いせだろうか。
「隠すようなことかな?」
クノンもフィアに便乗してきた。
クノンはあきらかに根に持っている。
仲間はずれにされたと思っているのだ。
「いや、お前ら…… あのな」
カシスは頭を抱えた。
「このやりとり、何回目だ?」
カシスの指摘は黙殺された。
ふたりは並んで歩きながら、おたがいの言葉にうなずきあっている。
「そっかぁ。僕には話してくれないんだぁ。そうだよねぇ。僕なんかにはねぇ」
「ま、誰だって話したくないことぐらい、あるわよね」
とげとげしい雰囲気を感じながら、とりあえずカシスは黙秘を通した。
「そうだね。話しにくいにしてもね、一緒に危険を乗り越えた仲だしさ。遠慮も必要ないと思うけれどねぇ」
「ねぇ。他人のことはねちねち訊くくせにねぇ、とやかく言えないわよねぇ」
「……言っとくが、噛み合ってねぇからな、その会話」
道中この調子では、さすがにまいる。言い訳にもならない弁解が口にのぼる。
「だからな…… 俺にも、なんだ、照れっつーか心の準備っつーか…」
「寝ている女の子の身体まさぐったくせに?」
「手当てしてやったんだろうが!?」
思わぬフィアの反駁に、過敏に反応してしまった。
「年頃の娘が、そんな品のない言い方するんじゃない」
「うるさい痴漢」
「二度と助けてやらねぇ」
喉の奥で唸る。沽券にかけて、治療のため以外には不要な手出しは一切していない。にも関わらず、この扱いだ。
(俺が、何をしたってんだ……)
「あと、言い草がオッサンくさい変態くさい」
「泣かすぞ、このアマ!!」
さすがに怒鳴り返すと、フィアは手の届かないところまでひょいと逃げた。つん、と知らん顔をしている。
追いかけるのも面倒でげんなりしていると、
「で? 何の情報だっけ?」
クノンの一言に、カシスはがっくりと肩をうなだれた。
-------------------------------------
反動でユル軽い感じで
なんだかんだでフィアは元気です
PR
この記事にコメントする
カテゴリー
最新記事
(11/20)
(07/21)
(10/25)
(08/28)
(08/14)
ブログ内検索