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親不知抜いて結構痛いけど更新するですよ!
CHILDRENOFGROUND
第4章 千年の森
5:
「ね、セシル。また会える?」
第4章 千年の森
5:
「ね、セシル。また会える?」
去り際に、少年はそう問うた。
彼女は、すぐに応えられなかった。いつでも島を離れられるわけでもない。そもそも、島をでることは禁忌だ。今回は、特例に過ぎない。
魔物に受けた傷が余りにも深く、龍の力では癒す術がなかった。放置すれば死に至る状態で、一か八かで抜け出し、癒しの力を持つという聖樹を求めて、このレイーグの森を訪れたに過ぎない。
そして、彼女は次期ピラウスだ。もし、ピラウスを継承すれば、それこそ島を離れるわけには行かない。
「もちろんだ。きっとまた来る。助けてもらった礼をしたい」
気づけば、彼女はそう応えていた。出来ない約束だと、頭で考えていたはずなのに、口をついて出た言葉は全く逆の答えだった。
「ほんとに!?」
少年が嬉しそうに笑った。その微笑に、つられて頬が緩む。
彼の笑顔を見るたびに思う。ずっとここに居ることができたなら。ここで、自分の役割とか、自分が何者かなんて、なにひとつ気にせず過ごせたのなら。それはとても魅力的だった。
「いつ? 次はいつ会える?」
彼女は吹き出した。なんてわかりやすい急かし方だろう。
「そうだな。お前が私の背を越したぐらいに、な」
軽口のつもりだったのに、拗ねるかと思えば、少年はますます目を輝かせた。
「じゃあ、おれ、おっきくなる! セシルよりもずっとずっと、でかくなるから!」
「楽しみだな」
「どうしよう。おれ、もう、明日にでも背が伸びてるかもしんない! そしたら、セシル、どうする?」
「それなら明日、会いに来るさ」
傍らに佇む嵐龍が、何か言いたげに翼を揺らし、片足で数度、地面を掻いた。急かしているのだろう。
「そろそろ行かないと」
「うん、わかった。気をつけてね」
「ああ。お前もな、ラーガ」
「またね、セシル」
「ああ…… 必ず、会いに来るよ」
* * *
目が覚める。
体が重い。というより、息苦しい。大きく息を吸おうとして、肺が焼けるように痛んだ。
『ごほっ……!?』
吸い込んだのは水だ。彼女は水の中に居た。目を開けても、霞んで何も見えない。
パニックに陥って、手足をばたつかせると、何かに引っ張られる感覚があった。
「げほっ!」
次の瞬間、地上に投げ出され、フィアは力いっぱい咳き込んで水を吐き出した。胸が熱く、かきむしりたい衝動に駆られる。水を吐きながら、必至で息を吸った。冷え切った体がカタカタと震えた。
呼吸が落ち着いてから、やっと、ここはどこだろうと思い至る。おそらく、先程と同じ森の中だ。あたりの木は、どれも古いようだ。倒れた木から、芽吹いてを繰り返していて、まるでオブジェのようだ。
そして、彼女の目の前には大きな湖が広がっている。澄んだ水は深い藍色を宿し、底が見える。底には、どうやら木が根を張っているらしい。
その根を辿ると、湖の中央に、一際巨大な木がそびえている。
「聖樹…… イクス・マナン……」
うわごとのように、フィアは呟いた。
思い出した。そうだ、ここは。この場所を、忘れてしまうなんて。
胸が痛い。水を飲んだせいじゃない。『彼女』の記憶が脳裏をよぎる。
(…… 私の記憶じゃないのに)
冷たい自分の肩を抱いて、フィアはうずくまった。涙がこぼれるに任せる。抗う気力も無かった。
じっとしていると、何か大事なことを忘れているような気がしてきた。
そういえば、どうして、私はここにいるの?
はっ、として顔をあげる。
両手を広げて、体を見下ろす。五体満足だ。触れてみても、どこの怪我していない。
「どうして? 私、死んだはずじゃ……」
『セシル』
馴染みのある感覚がした。声ではない言葉。言葉ではないささやき。
ふと、日の光が遮られる。顔をあげると、湖面に龍が鎮座している。
(嵐龍――!)
声にならない叫びが、全身を貫いた。ぞっ、と肌が粟立つ。
体は震えるが、一指たりとも動かせなかった。冷たい感覚が染み渡る。心臓がわしづかみされたら、こんな感じだろうか。
怒りだ。嵐龍の激情が、彼女の肌を焼く。
『お前が、なぜ、坤龍を滅ぼした?』
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案の定ピンピンしてるヒロイン。
つづく。
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