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バイトで年越しました。

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

12/31投稿分のつづき。
第2章はこれで完結。

CHILDREN OF GROUND :2-16
第2章 過去より 遣わされる者

:エピローグ

「ほら、話してみなよ、姉さん。俺、ちゃんと聴いてるからさ」

 人懐っこい笑顔。優しい声音。まっすぐで柔らかい黒い髪。光の加減では紫に見える、色素の薄い瞳。背はあまり伸びなくて、いつまで経っても私と同じくらい。身長のことを指摘すると、決まっていつも拗ねたような顔になる。その仕草さえ愛おしかった。

 孤児院で冷遇されていた私のそばにいてくれた、たったひとりの人。

 物心ついてときから、ずっと一緒だ。本当に血が繋がっているのかさえわからないが、彼女にとって、弟であり、唯一の家族だった。

 何故、今、弟のことを思い出しているのだろう。

 寒い。身体が冷えているわけではない。例えようのない、寂寞感。たくさんのものを失ってしまった。

 こんなときに、弟が傍に居てくれたら。他に何を失ったとしても、彼が傍に居てくれれば、それで十分だった。この苦しみも、哀しさも、彼になら打ち明けられる。きっと何も言わずに頷いてくれる。肩を抱いてくれる。

 だが、あの暖かい手は、もうない。彼はいなくなってしまった。魔物に襲われて、弟は、私をかばって死んでしまった。私が、無理を言ったから。彼は何度も危ないと言ってくれたのに、あえて危険な道を選んだ私のせい。

 いつまでも一緒だと思っていた。彼女が旅に出るときも、一緒に来てくれた。彼の静かな生活まで奪うつもりはなかったけれど、とても嬉しかった。それなのに、私は。

 私のせい。私が居なければ、レオは死なないですんだ。私があのとき強かったら。

 せめて、あの子の代わりに、私が死ねたなら。
 
 寂しくて、哀しくて、苦しい。

 どうして今、こんなに彼の事を思い出しているのだろう。

 どうして、涙が溢れて止まらないのだろう。

 フィアは両手に顔を埋めた。赤子のように、身体を小さく折り曲げる。震えが止まらない。何度拭っても、涙が止まらない。震える口元を押さえるが、それだけじゃ足りない。嗚咽がこぼれる。

(もっともっと、私が強ければ)

 届かなかった。

 イルミナを救えなかった。

 セシルは浩龍の力を残したのに。

 どうして、私はこんなに無力なんだろう。

 力があってもなくても、私は何ひとつ守れやしない。

 フィアはひとり自分の身体を抱きかかえていたが、もう一度眠りが訪れるまで、涙も震えも治まることはなかった。



 私は、誰なんだろう。
 
 私が私でなければ、どんなによかったろう。
 
 強く、賢い、誇り高い戦士だったら。
 
 レオを守ることもできたろうに。
 
 イルミナを救うこともできたろうに。
 
 こんなに、苦しくはなかったろうに。
 
 私が“私”じゃなかったら。本当の“私”だったら。
 
 まがいものでなく、本当だったら……
 



--------------------------------------
第2章終了。
稚拙な表現でわかりにくい話になったことに恐縮しています……
フィアの独壇場でしたが、まぁ彼女の戦いなんでしょうがないかな。
次は、主人公にクローズアップしていきたいです。
乞うご期待。

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